歯の根っこと骨の間には「歯根膜」というものが介在しているが、歯を守るクッションの役割と、歯にかかる力を精密に感知するセンサーの役割を兼ね備えている。
歯根膜の神経は脳神経のひとつである三叉(さんさ)神経につながっている。
「噛むこと」による歯根膜への刺激は脳の中枢までにまで伝えられ、脳の中の「運動」や「感覚」だけでなく、「記憶」や「思考」、「意欲」に関係する領域をも活性化させることがわかってきた。
意識的に噛むことによって、歩行に難があった人がうまく歩けるまでに回復したケースもあるようだ。
歯は姿勢、バランスにも影響を与える。
入れ歯をはずすと、入れている時と比べて力が入りにくくなり、体のバランスを崩しやすい。
姿勢を保つ上で重要なことのひとつに、上顎と下顎の位置関係の正不正が関係する。
左右のどちらかの歯が失われ、片方だけでしかかめなくなるとこの位置関係は悪くなり、身体のバランスが保ちにくくなる。
特にご高齢の方では、フラフラとしてしまうことが多くなる。
左右両方でしっかり噛めることが、高齢になってもしっかり歩けて健康でいられる秘訣だと信じている。