こんにちは、舘林です。
心臓弁膜症や心房細動を原因とする脳塞栓、あるいは深部静脈血栓症による肺塞栓の予防のために、ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)という薬を飲んでいる方がいらっしゃいます。
その方たちは納豆を食べてはいけません。
なぜかというと、肝臓で合成される血液を固める物質(血液凝固因子)の中にはビタミンKが関与しているものが幾つかあり、ワルファリンはビタミンKの作用を妨げることにより血液を固まりにくくしていますが、納豆はビタミンKを多く含むのでワルファリンの効果を弱めてしまうからです。
ところで最近知ったのですが、納豆菌を含んだ整腸剤(便秘薬)というものがあるらしい…。
添付文書には「抗凝血剤(ワルファリン)を服用している人は、医師、薬剤師に相談してください」と書かれてはいますが、しっかり読む人ばかりとは限りません。
もし、ワルファリン服用患者さんに「整腸剤使ってもいい?」と聞かれたら、「納豆菌が入っていないのでしたらいいですよ」と、さり気なく言ってさしあげたい。
ところでこのワルファリン、その強力な出血誘発作用からもっぱら殺鼠剤(ねずみ駆除)として使用され、ヒトの血栓症に対する治療には副作用の恐れから、試みられることはありませんでした。
しかし1951年、自殺目的で大量服用した人が無事蘇生されたことで、ヒトへの臨床応用が始められたそうです。
何をきっかけに、「毒」が「薬」に変わるかわからないものです。
でもその反対もありますから、使う人、使わせる人は気を引き締めましょう。