最近「上の前歯が急に動いてきた」と言われて来院される方が2~3人続いた。
50~60代の男性と女性。
皆さんにほぼ共通しているのは、下の両側の奥歯を失くされて部分入れ歯を入れられているが、上は歯がほとんど残っているという状態である。
歯を失って1年もすると噛み合わせが変わり、前歯同士が強く当たるようになる。
すると下の歯のほうが強いため、
① 上の前歯が前方に押し出され
② 歯と歯との間に隙間があき
③ やがて動き出してくる
という経過で、「これは大変だ」ということになるわけである。
治療はまず、奥歯でしっかり噛めるように、下の部分入れ歯を調整する。
それで前歯同士のかみ合わせを弱くし、歯を動かそうとする力を緩和する。
それで動きが止まってくれれば、まずは一安心といったところである。
しかし長期的な安定性を考えると、入れ歯よりももっとしっかりしたインプラントがいい場合がある。
インプラント治療はこのケースで言うなら、ご自身の前歯を残す治療法でもある。
できるだけ永く、多くのご自身の歯で「食べること」を楽しんでいただきたい。