徳川家康が、亡くなる前に書かれた文章である。
企業のトップの方、歯科医院の院長、人を指導する立場の方など、よろしければ参考になさってみてください。
大将というものは
敬われているようで その家来に絶えず落度を探られているものだ
恐れられているようで悔られ 親しまれているようで疎んじられ
好かれているようで憎まれているものじゃ
大将というものは
絶えず勉強せねばならぬし 礼儀もわきまえねばならぬ
良い家来をもとうと思うなら
我が食へらしても家来にひもじい思いをさせてはならぬ
自分一人では何も出来ぬ
これが三十二年間つくづく思い知らされた家康が経験ぞ
家来というものは
禄でつないでならず 機嫌をとってはならず
遠ざけてはならず 近づけてはならず
怒らせてはならず 油断させてはならぬものだ
「ではどうすればよいので」
家来には惚れさせねばならぬものよ
元和二年六月(一六一六年)